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オープンカレッジ
歴史講座
南北朝時代
*** 太平記世界の人間像 ***
27年9月15日(火)    講師 伊藤 一美氏
太平記の群像1  「高師直」
高齢者センター大広間 9:30〜11:30
 受講者 70名
高師直(こうのもろなお)
 太平記に書かれているが、歴史上マイナーな人物であり、
この人物を取り上げ解説している講座は、諸大学では皆無であり、
本邦、唯一、当講座のみであります。エヘン・・・
高師直のことは、教科書には書かれておりません。
しかし、南北朝時代、重要な働きをした人物であります。
1.高氏(こうし)の登場
  (高氏とは)   高階(たかしな)氏の出。鎌倉時代には足利氏の執事
  (足利家時と師氏)家時自害「生まれ変わって天下をとる」との遺書を師氏が保管
2.師直の登場
  (師直の役目)  官職名が、「五郎左衛門尉」⇒「三河権守」⇒「武蔵権守」と変化
  (雑訴決断所職員)不動産訴訟担当⇒併せて、刑事訴訟、動産沙汰の執行
  (窪所の職務)  内裏の警備
  (武者所の職務) 政権の警察部門担当
3.一族の活躍
  (中先代の乱と高一族)建武2年(1335)、北条時行(高時の息子)が新濃で挙兵
           一時、鎌倉を占拠。すぐ、尊氏と合流して奪還。
           高氏一族、師泰(もろやす、師直の兄)が鎌倉の治安警備担当
  (怒られる尊氏) 高氏一族は補佐役として活躍、尊氏をいさめる
  (摂津湊川の合戦)尊氏出陣の際、師直は執事
4.室町幕府の成立と師直
  (幕府の執事へ) 尊氏の建武式目の成立時、幕府の執事として活動開始。
  (守護としての役目) 上総守護  武蔵守護
  (京都の屋敷)  一条今出川付近に邸宅所在
  (南朝との戦い) 尊氏側について参戦。
  (師直の横恋慕あらまし) 出雲守護塩冶高貞の美貌の妻に横恋慕。悪い噂。
5.幕府体制の変化
  (師直の権限の縮小) 建武5年(1338) 足利直義へ権限移行の動き。
  (足利直義の考え方) 鎌倉幕府の体制を理想とする。
  (師直の考え方)   施行状こそ重要な権力基盤。所領安堵で治める。
  (対立する二人) 足利直義 vs 高師直。直義の大病に、御家人らに見舞い禁止命令
6.没落への道
  (四条畷の合戦)   楠木正行(まさつら・正成の息子)を滅ぼす
  (吉野攻撃)     吉野の行宮を攻撃、放火  悪い噂増長
  (悪い噂)      二条前関白女に子を産ませる、など
  (師直の暗殺計画)  足利直義は、師直を殺害する計画企画。
  (師直・師夏父子のクーデター)師直父子は将軍御所を包囲(貞和5年〔1349〕)
  (師直一門の最期へ) 観応3年(1351)摂津兵庫の戦いで、師直は股に負傷
  (京都を目指すが)  武庫川付近通過に上杉能憲軍に待ち伏せされ、討ち取られる。


















対立の構図
足利  尊氏(兄)(弟)直義  
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 高 師直(弟)(兄)師泰  
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